「IBM社レジスト特許」で学ぶ半導体プロセス工程(1)

ただいま、「IBM社レジスト特許を読む」のビデオを視聴しながら、半導体プロセスの勉強に悪戦苦闘中です。

講座で取り上げられている明細書は「特開平6―95385 、深-UV、I-線またはE-ビームリソグラフ用の新規シリコン含有ネガレジスト」。

半導体製造工程で使用するネガレジストに関する発明の特許明細書です。

ビデオを見始めたとき、まずは半導体製造工程を知るために、いろいろなサイトや本で工程の順番と内容を勉強したのですが、それぞれ異なるところがあり(最初はその理由が全くわからなくて)、混乱状態でした。

明細書にあった従来技術の半導体製造前工程の図も簡略化されているので、私にとっては「?」の連続。

しかし、ビデオ講座を通して、私の疑問が1つ1つ消えていきました。

油断するとすぐにあやふやになってしまうので、ビデオでの説明を元に、自分なりに工程をまとめることにしました。

まずは、特許明細書にある図1について。従来技術の3層構造の工程をまとめました。

1.基板にベークしたノボラック等のポリマーを塗布

このポリマーを塗布する目的は、基板の上にすでに配線などがあって段差があるときに、それを平たんにするためです。

2.「1」の上にシリコン含有RIEバリア層を形成

ここでのシリコンは、窒化ケイ素(Si3N4)、二酸化ケイ素(SiO2)、有機ケイ素等です。この層を形成する目的は、名前の通り、エッチングからマスクパターンを守るため。エッチングされにくい物質が含まれているので層は薄くても大丈夫です。

3.「2」の上にフォトレジスト層を塗布

フォトレジストの膜厚は薄いほうがいいです。その理由は、薄いほうが高解像度になるため。露光時間、現像時間のことを考えても、薄いほうが有利です。

これで3層構造が完成です。

※膜厚が薄いとなぜ高解像度になるのか

マスクのパターンを高解像度にするには、光の波長を短くする必要があるからです。膜厚を薄くすれば、光源から膜全体へ光が通るときの距離が短くなり、波長の短い光を受けることができます。

では、なぜ波長は短いほうがいいのでしょう。それは、光は波長が短いとまっすぐに進み、波長が長くなると物の後ろに回り込む(回折)性質があるからです。レジストの膜が厚くなると、最初に光が当たったところは波長が短いですが、奥に行くにしたがって波長が長くなり、光がにじんできます。するとマスクの解像度をいい状態に保つことが難しくなります。

4.プリベーク

レジストの溶剤を蒸発させ、下層との密着性をつよめるためにプリベークします。

5.露光

フォトレジストにマスクを通して紫外線を当て、パターニングします。紫外線以外では、i線及び電子ビームが使用されることもあります。

※この後で、露光後ベークPEB(Post exposure bake)をする場合もあります。目的は光の波の影響で不均一になったパターンの端を滑らかにするため。

6.現像

現像液に付けたり、上からシャワーのように現像液を塗布して、現像します。すると、未露光部分が溶解して除去されます。

露光された部分(ピンクの部分)にマスクパターンが転写されます。

7.リンス

現像液が残っていると現像が進んでしまい、除去される部分が増えてしまうので、リンス用の溶剤で残った現像液を洗浄します。

8.ポストベーク

レジストを硬化させます。残っていた溶媒や現像液もここで除去し、下層との密着を強めます。

9.反応性イオンエッチング(RIE)

ガスを使用してエッチングしていきます。まずは、CF4(四フッ化炭素)RIEでRIEバリア層をエッチングします。露光されたレジスト部分も、エッチングによって削られていきますが、レジスト層の下のRIEバリア層が下のポリマー層にとってのマスクとなるので、問題はありません。

次にORIEで、ポリマー層をエッチングします。RIEバリア層も少しずつ削られる可能性があります。

10.アンダーカット

エッチングされたポリマー層とRIEバリア層の側面をアンダーカットします。

この後、金属を上から蒸着させるのですが、金属が側面についてしまう可能性があります。金属が必要のないところに付着すると、回路がショートする問題などが起こりやすくなり、ウェハの品質に影響を与えるので、それを避けるために行います。

11.金属を蒸着

金属をCVD(化学気相成長法)や他の方法でウェハ上に付着させ、金属膜を形成します。図では上から雪のように金属が降っていますが、上にウェハを持ってきて、下から金属を付着させるものもあります。(その方法の場合、ウェハにごみが乗りません)

その結果、金属の全面被覆層(ブランケット層)ができます。

12.残った層を溶剤で溶かして除去

残った層を溶剤で除去して、金属膜だけを残します。溶剤で溶かす方法としては、溶剤につけたり、上からかけるスプレー方式などがあります。

3層構造の前工程は、これで終了です。

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