「IBM社レジスト特許」で学ぶ半導体プロセス工程(3)

特許明細書「特開平6―95385 、深-UV、I-線またはE-ビームリソグラフ用の新規シリコン含有ネガレジスト」の第3回目です。

今回は、図3の工程をまとめました。

こちらも図2と同じ2層構造ですが、レジスト層に違いがあります。

1.基板にポリマーを塗布

レジストに使われる溶剤に不溶である、または高温ベークすると不溶になるポリマーを塗布します。明細書では、ノボラック‐ジアゾキノン又はポリイミドを代表的なポリマーとして挙げています。厚い層にすることもポイントです。

1)ポリマーを塗布する理由
基板にはすでに回路などが形成されているので段差があります。その段差を吸収して平たん化するためです。

※なぜレジストの下の層を平たん化する必要があるのでしょうか。
レジスト塗布後にマスクを通して露光し、マスクのパターンをレジストに転写します。

このとき、もし、レジストの下の層が凸凹していて、その上にレジストを塗布していたら、レジストの面も凸凹になってしまいます。すると、光源からレジストまでの距離がまちまちになってしまい、焦点が合うところとそうでないところがでてきます。

その結果、レジストには、くっきりパターニングされている部分とそうでない部分ができてしまいます。

それを防ぐために、レジストの下の層を平たん化するのです。

2)ポリマーを厚めに塗布する理由
上に書いたように基板に段差があるので、その段差をなくなるぐらい平らにするためにはどうしても厚く塗布する必要があります。

また、ポリマーの上にレジストを塗布した後、エッチングするのですが、その時レジストのパターンがこのポリマー層に転写されるまで、エッチングに耐えなければなりません。このため、ある程度の厚みが必要になるのです。

3)レジストに使われる溶剤に不溶でなくてはならない理由
レジストの溶剤に混ざることを防ぐためです。ポリマー、レジストが別々の層として存在する必要があるので、ここでは、そのような材料を使用します。

2.ポリマーをソフトベーク

90℃で10分間ベークします。

ポリマーの溶剤を蒸発させて基板との密着を高めます。

3.ポリマーをハードベーク

230℃で30分間ベークします。

ポリマーを架橋、硬化させることによって、レジスト溶剤に対し不溶になります。

4.レジストを塗布

ここで塗布するレジストは、図2で使用されているレジストと異なります。

図2では、レジストをシリル化(HMDSガスにさらす)することでシリコンを導入しました。

今回塗布するレジストは、従来のレジスト材料にシリコンを含有させた誘導体です。その従来のレジスト材料とは、下記Bを含むAのいずれかです。BはAに別個の成分として添加又はポリマー鎖に組み込まれる形になっています。

A:・塩素化した又はクロロメチル化したスチレン

・ヒドロキシスチレン

・メタクリレート誘導体

・ノボラック樹脂 など

B: 感光性化合物

たとえば、感光性化合物を含むノボラック樹脂にシリコンを含有させた誘導体をレジストとして使用します。

5.プリベーク

レジストをソフトベークします。レジストの溶剤を蒸発させて、下層との密着性を高めます。

6.露光

フォトレジストにマスクを通して光を当て、パターニングします。

この時点では、まだ現像していないので、パターンは潜像状態です。

※この後で、露光後ベークPEB(Post exposure bake)をする場合もあります。目的は光の波の影響で不均一になったパターンの端を滑らかにするため。

7.現像

現像液に付けたり、上からシャワーのように現像液を塗布して、現像します。すると、未露光部分が溶解して除去されます。

8.リンス

現像液が残っていると現像が進んでしまい、除去される部分が増えてしまうので、リンス用の溶剤で残った現像液を洗浄します。

9.ポストベーク

レジストを硬化させます。残っていた溶媒や現像液もここで除去し、下層との密着を強めます。

10.反応性イオンエッチング(RIE)

明細書ではO2のエッチングとは書いていないのですが、レジストはシリコン含有なので、O2のエッチングをしているのではないかと思います。

レジストに導入されたシリコンがO2を受けることで、SiO2になります。これが耐エッチ性を発揮。レジスト層とその下のポリマー層とのエッチング速度の違いから、レジスト層がエッチングに耐えている間にポリマー層がエッチングされていきます。

レジスト層のエッチング速度:SiO2があるので、遅い
ポリマー層のエッチング速度:SiO2が含まれていないので早い

エッチングが終了しました。